カナヘビ雑話、の巻

ある冊子に、こんな記事を寄せました。その発行は来月になるようですが、フライングで公開させていただきます。



カナヘビ雑話 kazg


(1)


私の住まいは、田園に囲まれた造成団地で、自然豊か、生物の多様性にも恵まれています。暖かい季節になると、庭にも各種の昆虫たちがあらわれ、それを捕食するアマガエルやアオダイショウ、カナヘビなどの生き物も姿を見せます。


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「カナヘビ」は「ヘビ」という名はついていますが、見かけの通りトカゲの仲間です。日本でもっともポピュラーなトカゲは、このカナヘビ(ニホンカナヘビ)と、ニホントカゲ、ニホンヤモリの三種。私などは、このカナヘビの方が見慣れていて、子どもの頃はこれを「トカゲ」と呼んでいました。敬愛する写真家土門拳さんの写真にトカゲで遊ぶ子どもが出てきますが、これもカナヘビだったかもしれません。


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蛇足になりますが、「カナヘビ」の名前の由来には、①「金蛇」=金属色のヘビ、②愛(=可愛い)蛇、などの説があるそうです。孫たちは、カナヘビを見つけると「可愛い」と叫んで追いかけますから、「愛蛇」の命名由来にも合点がいきます。草陰からこんなひょうきんな姿が見えると、ついカメラを向けたくなります。clip_image004


孫たちも、赤ちゃんカナヘビを手のひらに載せて遊ぶのが好きでした。


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(2)


去年の夏、大阪の孫(保育園児)が、庭で捕まえたカナヘビをプラケースに入れて飼おうとしたけれど、食欲もないし元気もないので、帰阪前に逃がしてやりました。が、よく見ると土の中に卵を産んでいるらしいのでそのまま持ち帰っていたところ、2匹が孵化したのだそうです。


パパが、爬虫類専門店の店員さんの薦めに従って、紫外線ランプを調達し、人工餌と餌用コオロギを買って与えるなどの世話をしてきたけれど、冬になって気温が下がり、これ以上育て続ける自信がないというので、正月の帰省の際、このカナヘビ2匹も「里帰り」することになりました。「里帰り」とは言っても、庭に放しても冬眠に失敗する恐れが高いので、暖かい季節が到来するまでは、リビングルームで賓客待遇でもてなすことにしました。


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人工餌はお口に合わないようで、生き餌を調達しなければなりませんが、あいにく、野原で小昆虫を採集できる季節ではないので、ペットショップを物色することにしました。小型でおとなしく、柔らかいヨーロッパイエコオロギ(略称「イエコ」)が適当らしいのですが、あいにくSサイズが売り切れで、試しにMサイズと、頑強なフタホシコオロギのSサイズを購入して帰りました。


コオロギ飼育のにわか勉強に明け暮れるうちに、幼カナヘビも徐々に成長し、人工餌も口にするようになりましたし、多少大きめのコオロギも十分捕食するようになりました。かなりの食欲ですので、餌を切らさぬよう頻繁にペットショップに通うのも、なかなか厄介です。


これは餌の自家繁殖をめざすほかあるまいとネット検索してみますと、比較的繁殖が容易なものとして、デユビア(別名アルゼンチンモリゴキブリ)が紹介されています。同じゴキブリの仲間のレッドローチよりも大型で、臭いが少ないのが特長だそうです。コオロギは卵生で、産卵・孵化のための留意が必要ですが、デュビアは卵胎生なので、条件さえ整えば次々に子どもが生まれるのだそうです。


ですが、買い求めてみると、デュビアは市販の最小サイズでも幼カナヘビの口には大きすぎます。ましてや、成熟した親は、論外の巨大さです。(写真を示したいところですが不快を覚えられる方もおありでしょうから割愛します。笑)とすれば、生まれたての幼デュビアに期待するしかありません。


こうして、カナヘビの飼育は、同時にコオロギやデュビアの飼育・繁殖の労力を伴うことになったのでした。飼育ケース、床材、餌、水やりなど、研究成果を披瀝すれば長大な文章が書けますが、これも割愛させていただきます。(笑)


(3)


季節は巡り、保温装置なしでも生育できる気温になると、コオロギたちは妙なる音色で虫の声を奏でるようになり、いつのまにか自然産卵して、無数のジュニアが孵化してきました。相前後して、幼デュビアも次々と誕生してきて、カナヘビ2匹にはとても食べきれない量の生鮮食品が確保できました。


でも、一歩戸外に出れば、捕虫網一振りで潤沢な生き餌が手に入る季節。出費と手間暇をかけてイエコやデュビアの飼育を続ける必要があるのか。そもそも、カナヘビたち自身を早く野生に戻してやるべきではないのか・・・・。葛藤は尽きませんが、世話の焼ける同居者たちに、癒やされる毎日でした。


(4)


私の所属する退職同業者の会報最近号に、以上のような内容の記事を、掲載していただきました。その後日談をかいつまんで書きます。


記事執筆からさほど日も経たぬうちに、2匹のカナヘビは相次いで昇天してしまいました。彼らが住んでいたプラスチックケースは主を失って空になり、餌として飼育していたコオロギ、デュビアは元気に繁殖しています。外来種なので外に逃がすわけにもいかず、これを消費してもらうために、小さなカナヘビを一匹、庭で捕まえました。野生だけに、警戒心が強く、なかなかなつきませんが、小さなコオロギ・デュビアは口にしてくれるようになりました。でも、次第に涼しさが感じられる頃になると、自然状態で冬眠させてやった方が良いのではと思えて、寒くなる前に庭に逃がしてやりました。


コオロギとデュビアの処遇問題は振り出しに戻り、小四の孫と相談して、一緒にペットショップを訪ね、特売中の「レオパ」を買ってきました。「レオパードゲッコー=ヒョウモントカゲモドキ」。ヤモリの仲間だそうです。写真を載せたいところですが、爬虫類が苦手の読者もおられましょうから、孫が描いたイラストをご紹介します。


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今日はこれにて。


追伸 初代ブログも久々に更新していますご覧ください。


昔はこうではなかった・・・・?の巻:ナードサークの四季:SSブログ (ss-blog.jp)

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